人魚姫

人魚姫―アンデルセンの童話〈2〉 (福音館文庫 物語)

人魚姫―アンデルセンの童話〈2〉 (福音館文庫 物語)

けれど、人魚姫のほうには、ほほえみかけてくれませんでした。ええ、それはそうです。王子は、人魚姫が自分の命を助けてくれたなんて、まるで知らなかったのです。(p.285)

 さやかは人魚姫だなあ……と思ったら原作を確認したくなったので図書館で借りてきた。
 まどマギ最終話ネタバレするから一応たたむ。
 さやかが一番、「思春期の潔癖」みたいなものを体現していたと思う。7話の、仁美も上条くんを好きだったことを知った後、「助けなきゃよかったって思っちゃった」自分はまどかに優しくしてもらう価値もない、って泣いちゃうとことか*1。自分の中に汚い気持ちがあるのがゆるせない、っていう。それくらいしょうがないよ、って言いたくなっちゃうのはやっぱり大人目線なんだろうな。

 最終回、「あの演奏をもう一度聴きたい、あのバイオリンをもっと大勢の人に聴いてほしい」が最後に残ったさやかの気持ちだったのが示されて、彼女はほんとにいい子だったんだなあ、と思った。作中で何度か、まどかやほむらちゃんにひどいこと言う場面があったけど、他のいろんな要素が絡まってそういう言動に至ってしまったのであって、根っこは純粋だったんだなあ……と。

*1:あの涙は他のショックもいっしょくたになってあふれてきたんだと思うけど。元々、お見舞いは積極的にしてたけど、自分から「好き」と伝える勇気とか自信とかないみたいだったよね。そこへ、自分が普通の体じゃなくなったってことが発覚して、その上(おそらく描かれ方を見るにさやかよりも美少女度の高い)友達までもが上条くんのことを好きだってわかっちゃって。