川端康成『眠れる美女』
- 作者: 川端康成
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/11/28
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 102回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
江口老人は道楽をつづけているおかげで、「安心できるお客さま」ではまだないのだが、老人仲間の話に興味を惹かれ、その家を訪れる。江口は娘の傍らで、「女」にまつわるさまざまな過去を思い出す。
女の乳房を美しくして来たことは、人間の歴史のかがやかしい栄光ではないのだろうか。(p.28)
としても、末娘は男友だちにとりかこまれて、陽気で自由でいた、勝気な娘だけに、江口は安心していたようだ。でもことが起こってみると、むしろなんのふしぎもない。末娘だって、世の女たちとからだのつくりがちがっていはしない。男の無理を通されるのだ。(…)末娘のことがよしんば男の愛情の火事だったにしても、それをこばみきれない娘のからだのつくりに、江口はいまさら思いあたった。(p.62)