木地雅映子 『マイナークラブハウスは混戦状態』 ポプラ文庫ピュアフル

「オイラにもわかんない。どうして自分がいつもいつも、こういう人間を引き寄せてしまうのか。でも小さい時から、ずっとそうなんだ。怒りや矛盾を抱えた人が、まるで、この世にオイラさえいなくなれば、自分の中のその矛盾もきれいになくなって、楽になれるんだ、って願掛けするみたいに、その感情をぶつけてくる。でもオイラもう、やめるんだ、そういうの。二度と吸収してやらないことに決めたんだ」(p.94)

 だがこういう質問にあった時、紗鳥はついつい、純粋にイエスかノーか、ではなく、今はイエスと言えばいいのだろうかノーと言えばいいのだろうか、を考えてしまう。相手の望む答えが、どちらなのかを推理して、返事するタイミングを逃してしまう。(p.134)

 いろんな子どもたちが出てくる。街にいたり田舎にいたり、頭が良かったりそうでもなかったり、家がお金持ちだったり貧乏だったり。でもみんな、大人になりたくて、あるいはなりたくないけどならざるをえなくて、悩んでもがいていることには変わりない。それが読んでいると痛いくらい伝わってくる。

 まあ、そんなごたくを抜きにしても、おもしろいです、ただただ。