花井愛子 『ときめきイチゴ時代 ティーンズハートの1987−1997』

ときめきイチゴ時代 (講談社X文庫)

ときめきイチゴ時代 (講談社X文庫)

 『学校文化とジェンダー』という本に、こんなアンケート結果が載ってました。

 1993年に、小・中学生を対象に「あなたは、男女交際や恋愛が出てくる10代向けの小説(たとえばX文庫やコバルト文庫など)を読みますか」とたずねた結果がおもしろかった。中学生女子の「よく読む」「ときどき読む」と答えたものを合わせると全体の7割以上に達した、という。多いなー。
http://d.hatena.ne.jp/chini17/20070622/p2

 『ときめきイチゴ時代』の著者は、そんな、多くの女の子に読まれる本をX文庫ティーンズハートから送り出した花井愛子さん。読者に本を届けるまでに、どんな苦労があったのかが書かれてます。
「ページの下半分が真っ白」と揶揄された文体は、マンガのページをめくるのとほぼ同じスピードで読める活字の本にしよう、という工夫の結果だったこととか。ティーンズハートは児童文芸書扱いだから、中学校で習う常用漢字以外は使用不可、文法的に間違った改行や句読点の使用もダメ、同じ単語は文字統一しなきゃダメ、と、意図して崩したところを校閲で全部直されて、抗議したこととか。
 うわー、大変だったんだなー……
 2000年になってから中学生になったわたしは、このブーム全盛期には出遅れているし、ティーンズハートは一応'少し読んだけれど(卒業生の寄附だか在校生の持ち寄りだかで、図書室にたくさんあったから)、改行いっぱいですかすかなのはちょっとなあ、女の子がすぐかっこいい男の子に出会っちゃうのもなんだかなあ、と思っていたのでした。図書室によく来る後輩たちも、ティーンズハートの内容については「こんなんありえんよねー」って言ってた気がする。でも、そんなこと言いつつ読んでたんだから、おもしろかったんだろう。
 特に花井愛子さんの本で覚えてるのは、『緑』。主人公が元々あんまりぱっとしない外見で(後にダイエットしてかわいくなるんだけどね)、男子とはりあってた小学校の頃の気持ちを述べるところとか、地味女子だった(今もだけど)わたしには感情移入しやすかったんだろうな。いちごポッキーを食べながら女の子二人で歩く、ラスト近くのシーンも覚えてる。