三浦しをん 『悶絶スパイラル』 太田出版

悶絶スパイラル

悶絶スパイラル

 三浦しをんさんのエッセイは、夏休みにだらだら読むのが似合う気がするんです。窓の向こうの青空は無視して、冷房の効いた屋内でジュース片手に読みたい感じ。
 わたしが初めて三浦しをんさんのエッセイを友達に貸してもらって読んだのが、大学一年の夏休みだったせいもあるかもしれないけれど。

 たぶん女は、「女になる」コツをつかめば、あとは「女でいる」ことは比較的簡単なのだ。しかし男は、「男になる」必要はなく、ただひたすら「男でいる」ことを求められる。男女ではくぐり抜ける関門の場所がちがうので、両性はいつまでも噛みあわない部分で葛藤する羽目になるのだ。(P.21)