輪るピングドラム最終回のこと・追記

 苹果ちゃんと陽毬ちゃんが、運命乗り換え前のことを覚えていないのが、いいなと思った。
 陽毬ちゃんはおにいちゃんたちからの手紙を見つけて涙を流すけど、どうして自分が泣くのかはわからない。きっとそうやって泣いたこと自体、日常にまぎれてそのうち忘れちゃうんじゃないかな。「忘れたくない」「忘れないよ」の言葉通り、陽毬ちゃんの中には、「病弱な妹」だった記憶があるんだけど、その記憶は普通の女の子として歩んでいる今の彼女の人生を邪魔しない。支配しない。苹果ちゃんの方もそうなんじゃないかと。

 乗り換え前の記憶は、彼女たちの中で一生眠ったまま、理由のわからない涙を流させるくらいがせいぜい、という……ヘタにはっきり冠葉や晶馬の存在を思い出すより、そっちの方がロマンチックだと感じるので。私の中であの最終回は、そういうことになってます。