彼女について

彼女について

彼女について

(以下ネタバレ全開)
 これまで読んだよしもとばなな作品の主人公の多くは、生きている人間だった。家族がいなかったり大事な人と死別したり殺されかけたり強姦されたり、大変な目に遭っていてとても生きにくそうで、それでもなんとか生きていこうとする人たちだった。
 でも今回は違う。主人公の女性は、途中でわかることだけど、ずっと前、まだ子どものうちに死んでいる。「遺された側」でなく「去ってゆく側」の物語。

(追記)なんにも悪くないのに巡り合わせで酷い目に遭った人がその後どうやって生きていくかをたくさん書いている著者が、今回は死んでしまった人が救われる話を書いた。それってすごいな、と思ったのだ。ただただ。

 読んでよかったな。