台所のおと みそっかす

台所のおと みそっかす (岩波少年文庫)

台所のおと みそっかす (岩波少年文庫)

子供にとって、この本を読みなさい、と大人からわたされる一冊は窮屈でしかありません。数ある中から、この本がおもしろそう、あの本は絵がきれい、と出したり入れたりするのがまた楽しいのです。そうしていくうちに、むずかしくてつまらないと思っていた本がふとしたきっかけで読めるようになる。自分の力で未知の扉を開ける喜びです。

歳月がたつにつれ、細かいストーリーは忘れてしまいますが、印象的な場面や、本を読んで楽しかったという記憶はいつまでも残るものです。むろん、大人になってからもおもしろい本を読むことはありますが、子供の頃の本との出逢いは無心な感動とでもいうのでしょうか、生涯絶対的な価値を持ちます。夢中になる度あい、胸のおどらせ方が違うのです。(p.329)

 編者によるあとがきから。