『さいはての二人』p.37

さいはての二人

さいはての二人

 生まれたときからお金持ちだった人は、きっとお金なんかに振りまわされない。高い教育を受けた人に限って、学位なんか何の役にも立たないよ、と言ったりする。人は誰でも、自分がすでに持っているもの知っているもの――あるいはかつて持っていたもの知っていたものには、興味を示さないものだ。
 持ったことがないもの知らないもの見たことのないもの――。人が貪欲に求める対象は、いつでもそういう種類のものだ。