パスカルの恋

パスカルの恋

パスカルの恋

 ときどき無性に読みたくなる本。

おそらくママはきちんと化粧をして斎藤さんと会い、斎藤さんはそんなママをきれいだと思い、でもママの疲れた顔をその百倍も千倍もいとおしく思ったのではないだろうか。そうであってほしいと思った。(p.22)

「短歌を一首、教えてあげる。風を浴びきりきり舞いの曼珠沙華抱きたさはときに逢いたさを越ゆ。すごく愛だと思うな」
「ありがとう」(p.154)

「駒井れん」は、石井睦美の別筆名。語り手の皓子と友達の香苗がいっしょにお酒を呑んだりお互いの家に泊まったりしている場面を読んでいると、つい石井睦美『卵と小麦粉それからマドレーヌ』の菜穂と亜矢を思い出してしまいます。『卵と〜』では中学生だった彼女たちが、大人になったらこんなふうに友達づきあいしているんじゃないかな、と。

 あと、この中に出てくる「ほうれん草とクリームチーズのサンドイッチ」が、やたらとおいしそう……