世紀末にはいつも不思議な植物が咲く。《少女》という名の植物が。
(中略)
 はかない少女たちを描く『観用少女』の頁をめくると、わたしの想いはタイムスリップして、百年前の世紀末に運ばれてゆく。「少女愛」の世紀末、ヴィクトリア朝のはるかな昔に。
 虚弱な少女が人形のように愛された《少女崇拝》の時代があったのだ。
山田登世子『世紀末夢遊』より)