家事についての記述

 その日から主夫生活が始まった。(中略)家事というものについての認識は、最初の一年でコペルニクス的に転回した。はじめ、家事とは〈掃除〉と〈洗濯〉と〈炊事〉のことだと思っていた。そして、〈掃除〉イコール掃除機をかけること、〈洗濯〉イコール洗濯機を廻すこと、〈炊事〉イコール炊飯器を仕掛けること、このように理解していた。一週間で間違いに気づいた。
〈掃除〉とは、どこかから出したものを元の場所にしまい、ありとあらゆるものに均等に降り積もる埃を払い、風呂とトイレをたわしでこすり、床や窓や玄関、ベランダを水拭きし、時には換気扇の油汚れと格闘することだ。〈洗濯〉とは、汚れ物を分類し、家で洗えない物はクリーニング屋へ出かけていって手渡し、もちろん引き取りにも行き、家で洗える物は洗濯機に入れ、洗い終われば、ひとつひとつ広げて干し、天気を気にしながら一日を過ごし、乾いたなと思ったら取り込んで一枚一枚アイロンをかけてたたみ、それらをタンスの正しい場所にしまうことだ。〈炊事〉とは、献立を考えて必要な材料を冷蔵庫の在庫と照合し、買い物に行き、切ったり剥いたりしてから煮たり焼いたり揚げたりし、食べ終わったら鍋釜と皿を洗って拭いて食器棚に戻すことだ。(p.34-35)

 2ページ全文引用したいくらい、「やってみないとわからない家事の大変さ」が的確に書かれていたのだけれど、長くなるのでここだけ。
 自分が一人暮らしで、一人分の家事にあっぷあっぷな状態なので、朝ごはん用意して洗濯機廻して洗濯物干して田んぼ行って*1、昼帰ってきて昼ごはん用意してまた田んぼ行って、夕方帰ってきて夕ごはん用意して……というふうに家を切り盛りしていた母の偉大さが身に染みます……。

*1:農家だから