「十九歳」が未来だった頃

 『対岸の彼女』(角田光代・文春文庫)読んで泣いていた。最初はうわー女子校パートぐっとくるー母娘関係ずきずきするーってだけだったんだけど、どんどん思考がそれてゆき、あんまり関係ないことまで悪い方に考えて泣いていた。

「十九歳のお誕生日にシルバーのリングもらうと、もらった人は一生しあわせになれるんだって」
「えー、一生? でもそれ、彼氏からでしょ?」
「ねえアオちん、あたしたちが十九歳のときもし彼氏がいなかったら、お誕生日にシルバーのリングを贈り合おうよ。一生しあわせにすごせるよ」
「ナナコはいないだろうからプレゼントしてあげるけど、あたしは絶対に彼氏からもらう」(P.92)