好きだから語る
「眼高手低」という。
創造よりも批評に傾く人は、クリエーターとしてはたいした仕事はできない。
(中略)
「作家的才能」というのはそういうものである。努力とか勉強とかでどうこうなるものではない。
人間の種類が違うのである。
作家と編集者の間には上下の格差や階層差があるわけではない。能力の種類に違いがあるだけである。
けれども、これを人間的資質の差や才能の差だと思う人がいる。不幸な錯覚ではあるけれど、思ってしまったものは仕方がない。
文学部に在籍してもうすぐ丸三年になるけれど、つくづく、自分は創作ができる人間でも評論が書ける人間でもないなって思う。好きな本についてきゃいきゃい言う一読者にしかなれないと。
でも、そんな人間なりに、卒論はがんばろう、がんばって書こう、と思う。ここで本について語る時も、注意深く言葉を選びたい、と思う。