野崎孝訳も数年前に読んだのだった

キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライ

 主人公が、なにかっちゃ気が滅入るろくでもないうんざりするやってられない気が重いと延々述べ続けるので、最初はこっちの気が滅入るぞといらいらしてました。「けっきょく、世の中のすべてが気に入らないのよ」っていうのは妹のフィービーの台詞だけど、ほんとにそう言いたくなる……でも、読んでいるうちに、こんなに気に入らないものがいっぱいあったら生きにくいだろうなあと気の毒になってきました。
 外見も頭もそんなに悪くないのに、余計なこと(……じゃないかもしれないけど、とにかく学校生活を送るにはすごく邪魔になること)をうだうだ考え続けてしまう男の子の物語に、そばで見守っていてくれて時にはひっぱたいて彼の目を覚まさせてくれる女の子や、ここではないどこかからやってきて彼の秘めた力を引き出してくれる女の子が登場しないと、こうやって落下していくだけのお話になるのかなあと思いました。(ひどい感想である)