荻原規子 『RDG レッドデータガール』 角川書店
RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)
- 作者: 荻原規子,酒井駒子
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/07/04
- メディア: 単行本
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「(前略)もっと根本的なところでいじめられタイプだからだろう。たしかにときどきいる、いつもびくびくしていて、よけいに踏みつけたくなるやつ。そういうやつは、どこへ行ってもいじめられ役なんだ(略)」
泉水子は固まったように立ちつくしたが、それは、彼がまっすぐ真実にふれたせいでもあった。教室の男子からぶつけられるような、底の浅い悪口ではない――うむを言わせないほど本当のことだけに、これほど残酷に響く言葉はなかった。それを目の前で言ってのける人間がいることも、信じられない思いだった。血の気がひいた。(P.116)
うーん……ここまで「意地悪」な男の子キャラ、これまで荻原作品に登場しただろうか。『樹上のゆりかご』の夏郎……はもっとかわいげがあるし無邪気だし悪意がないもんなあ……。
見られることが怖いのは、傷つけられるのが怖いからだ。見られることが恥ずかしいのは、自分で自分を否定しているからなのだ。このような自分がここにいることを、心の底から認めてはいなかった。これほど冴えない鈴原泉水子ではなく、他のものになりたかったからだ。
(わたしは、そう思っていながらも、本当は、こっそり求めていたのではないだろうか……本当は、ここにいるわたしをだれかにわかってほしいと。)(P.298)