母と娘

 たいていの人を相手にしている時、「言わない方がいいな」と思ったら言わずに我慢ができる……というか、「言わずに我慢できる」程度にしか感情は波立たない。でも、母親相手だとそうはいかない。言わない方がいいな、と思っているのに、我慢できなくて言ってしまう。後悔するのが言う前からわかっていても。言わないといやな気持ちが育って苦しい、でも言ったからってすっきりするわけじゃない、どっちにしろかなしい思いをする。

かわいい

 今日は年配の男性の方にかわいいと言われた。年配の女性の方にも言われた。
 どうも一部のけっこう年上の方々に好ましく思われる容姿と言動をしているらしく、時折「こんな謙虚な子はめったにいない、今時の派手な子よりずっといい」と大絶賛される。ううむ、容姿については化粧あんまりしなくて髪も染めてないだけだし、言動については単に緊張してたり人との会話に戸惑ってたりするだけなんですが。でも「かわいい」はいついかなる時でも言われると嬉しい言葉です。場合によっては多少の困惑やら何やらがくっついてきますが(かわいい、という言葉についてこういうふうに語ってしまうところがかわいくないのだ、という自覚はある)。

バイトの時

 休憩時、みなさんワンセグWBC見てて、その前を横切らないと更衣室に行けなくて、どーしよーと突っ立てた……(気づいた人に通してもらえました)。
 終了後、「あの子の笑顔は久しぶりに見たわねえ」「ああいう星の下に生まれた人っているのねえ」と話しているほんのちょっと年配の方たちに、なんか和んだ。

「十九歳」が未来だった頃

 『対岸の彼女』(角田光代・文春文庫)読んで泣いていた。最初はうわー女子校パートぐっとくるー母娘関係ずきずきするーってだけだったんだけど、どんどん思考がそれてゆき、あんまり関係ないことまで悪い方に考えて泣いていた。

「十九歳のお誕生日にシルバーのリングもらうと、もらった人は一生しあわせになれるんだって」
「えー、一生? でもそれ、彼氏からでしょ?」
「ねえアオちん、あたしたちが十九歳のときもし彼氏がいなかったら、お誕生日にシルバーのリングを贈り合おうよ。一生しあわせにすごせるよ」
「ナナコはいないだろうからプレゼントしてあげるけど、あたしは絶対に彼氏からもらう」(P.92)