アンパンマンのぬいぐるみ

 美術館へ娘と二人で行ってきた。娘(1歳8ヶ月)にとっては人生初の美術館。といっても彼女は行きの車の中でぐっすり眠ってしまい、抱っこしてもベビーカーにのせても寝たままだったので、起こさず展示を見て回った。娘は途中で目を覚ましたのだけれど、状況が理解できなかったのか人の多さにびっくりしたのか声も出さずに固まってしまっていた。
 ところで娘はアンパンマンのぬいぐるみ(大人の手のひらほどの大きさ)を持っているのだが、最近それがいたくお気に入りで、外出する時も持っていきたがる。美術館からの帰り、スーパーへ買い物に立ち寄った時もアンパンマンを抱えたままで、いつもはアンパンマンはお留守番だよと説得して車内に置いていくのだけれど、今日はまあいっか……と油断して、アンパンマンを小脇に抱えたままの娘を店内に連れていったのが運のつきだった。買い物を終えて帰ろうとしたら、娘の手からアンパンマンが消えていた。
 落としたかなと店内を見て回り、店員さんにも聞いてみたけれど、アンパンマンは見つからなかった。夕飯の支度を始める時間が迫っていたので、仕方なく一度あきらめて帰ることにした。帰りの車内で娘が「あれー? あんまんまん(アンパンマン、とはまだうまく言えない)はー? あんまんまんいなーい」と何度も言うので、うう……お母さんがもっと気をつけていればよかったね……ごめんよ娘……と罪悪感にさいなまれた。
 アンパンマンなくしちゃったかもしれないよとしょんぼりして夫に報告したら、夜もう一度スーパーを見に行ってくれた。そしたら、見つかった。忘れ物コーナーには届けられておらず、売り場の一角にちょこんと座らされていて、あまりにも風景と調和していて最初気づかなかったそうだ。誰かが落ちていたのを拾ってそのへんに置いてくれたのかな。
 そんなわけで、アンパンマンは無事娘の手元にもどってきた。よかったよかった。もうなくさないように気をつけよう。とっぴんぱらりのぷう。