丸8年

連れ合いと初めて会ったのはゴールデンウィークだったなと、連休の終わり頃に気づいた。もう8年も前のことになる。
なんで結婚したんだっけ。しあわせになろうとして結婚したわけじゃない気がする。どこに行っても誰といても嫌なことだってめんどくさいことだってあるだろう、悲しいことも起きるだろう、それならせめてこの人の近くにいたいと思ったのだ。でも本当にこんなに色々考えていたのかな、今の思いはこうだけれど、当時はもっと考えなしだった気がする。

「巣作り?」
「そう。発情期とは違うと思いますけど、そういう季節がやってくるんですよ。時期は人によります。そのときになると、所帯もっちゃうんですよね。あとで考えると、どうしてそいつとでなきゃなんて論理的説明はできません。女性はそれを運命と呼んでありがたがりますけどね」

松村栄子『セラヴィ』に出てきたこの言葉が一番しっくりくる。思い返すと自分がやったことと思えないもの、まさか九州から東北に嫁いでくるなんて。運命に導かれたと思ってありがたがっておこう。