しつこくひきずる自分に

王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法

王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法

 私は、ああ、そういうものなんだと思った。こんなにも嬉しくて、すっきりとした状況で、これまでよりは希望がある将来が予測できて、生命力に満ちた女の人が自分のそばで愛してくれているとしても、過去の重みが体から抜けていくまではずいぶんと時間がかかるのだ。たとえどんな面白くない過去であっても(pp.42)

 過去のことは過去のこととさっぱり割り切ることがなかなかできない自分に、罪悪感がわいて息苦しくなる時に、この本のこの箇所だけを読みたくなる。このままじゃいけないと思ってるけど、ほんとはどこかで「このままでいいよ」と言って欲しくて、それを叶えてくれる言葉を求めてる、ってことかな多分。

 忘れなきゃいけない、ひきずってちゃいけないと思い詰めていた時より、「そういうものなんだ」という言葉で少し楽になれる。罪悪感がきれいに消えてなくなるわけじゃないけれど。