しょうがないくよくよ

「あたしはね、見ぬもの清しだから」と母は答えた。(中略)「人の思いの底をくよくよわずらったってしょうがないでしょう。自分の思いの底だってわからないんだから。できるだけきれいなところを見ることにしてるから、自己嫌悪にはならないの」
 『あるようなないような』(川上弘美・中公文庫)pp.160

 誰かに嫌われたんじゃないか不快な思いをさせたんじゃないか、でも私のことなんかその誰かは気にもしてないかもしれないしただの自意識過剰なんじゃないか、と、くよくよする時いつも、この言葉を思い出す。思い出すけれどくよくよすることはやめられず、「嫌われたかな」と気にしたり「嫌われてないといいな」と願ったり「嫌われてませんように」と祈ったりしている。

あるようなないような (中公文庫)

あるようなないような (中公文庫)