結局のところ説明できない

 どうして、説明して、って、いっぱい聞かれた頃のことを不意に思い出す。
 あの時も今も、わたしは説明する言葉を持ってない。いくら思いつく要素を挙げ連ねていっても、口にした言葉は自分の気持ちからどんどん離れていくようだった。
 好きにならないようにしようと思っていたのに好きになってしまった人と、あんなに好きってことを示されたのに好きになれなかった人と、どこが違うのか、なんて。結果が分かれた理由は言葉にできない領域にあって、結果を示すことはできても理由を説明することはできなかった。