手あてのしかたがわからない

 心を強くしなければいけない。毎日毎日、自分で自分にそう言い聞かせていた。心を強くしなければいけない。
 強(こわ)い心と強(つよ)い心は違う。そんなことも考えた。心に傷を受けて生々しい傷口をふさごうとすれば心は強(こわ)くなってしまうのかも知れないが、丹念に丹念に手あてをすれば強い心をつくれるはずだ。(鷺沢萠大統領のクリスマス・ツリー』)

 些細なことをしつこくひきずる自分に辟易してる。もう気にしてないつもりだったけどだめだったみたい。
 まだ生傷なのを思い知らされて、それにもへこんだけど、そのことで頭がいっぱいになって、人のそれについて気遣えなかった自分にもっとがっかりしてる。なんだか事態を悪化させることばかり引き起こしてるみたいだ、って、何度目かもわからない後悔をしてる。

 未だに笑い飛ばせないわたしがおかしい気がして「そんなこと言わないで」って言えずにいる、言えば聞いてくれるのがわかってても言うのも嫌なくらい自分では触れたくないんだと気づく。でもそれは私だけのことじゃないのに、自分のことしか見てなかった気遣えなかった……やっぱり同じ後悔にたどりつく。無限ループだ。