こわい話

こういう場合、男性はとにかく説明すればいいのだ。自分にとっての理由とか言いぶんを説明するのではなく、「女性が欲しているラインに沿った説明」をすればいいだけのことだ。感情を曲げ、事実と反した説明をするのは男らしくない、と考えるひともいるかもしれない。あるいは、そんなのは誠実な態度とは言えない、と感じるひともいるかもしれない。
が、所詮は個人的関係にある男女間の喧嘩である。相手の求めるストーリーに則った説明を、いかにも「俺も遺憾であるよ。ほんとにごめんね」と思ってるような素振りで語っておきゃあいい。相手とこれからも仲良くしたいという気持ちがあるのならば。
たぶん多くの女性は、言葉を欲する。べつに、「愛の言葉」という意味ではない。早い話、納得できる「理屈」が欲しいのだ。理屈を言葉で説明してくれる態度に、女性は男性の「愛」を見いだす傾向にある。
彼女の欲するところに気づいているのに気づかぬふりで、沈黙で抗しようとするのは、怠慢であり演技力の欠如と言えるのではないか。もし、彼女がなにを欲して小一時間も糾弾しつづけているのか気づいていないのだとしたら、それは言語解析能力と想像力の欠如と言えるのではないか。
(中略)
女と仲良くしたいと願う男は、執念深くなく言葉を求めない女を探すといいだろう。しかし残念ながら、執念深くなく言葉を求めない女は、存在しないのである。こわいですね。

 三浦しをんさん「ビロウな話で恐縮です日記」より。
 こわいわあ……ちょうこわいわあ……。こういう負の女らしさ(って言えばいいのかな)をわんさか持ち合わせている自信だけはあるので、こわいわあ……

 でもまあ……このエントリの趣旨からは外れた話になるけれど、「自分の求めているストーリーに則った説明」をしないと納得しない人は、男の人の中にも、いるなあ、とか、思ったり……(遠い目)